2019年12月6日から12月8日まで長崎で開催されました網膜硝子体学会に参加してきました。網膜硝子体学会はメディカル網膜、サージカル網膜など臨床研究が中心の、全国から網膜専門医が集まる大変有意義な学会のひとつです。今回は古泉教授、山内遵秀先生、玉城環先生、湧川空子先生、寺尾で参加しました。
本学会では近年トピックとなっているpachychoroidや難治性黄斑円孔に関連する発表が注目されていました。Pachychoroidに関してはかなり疾患概念も整理されてきた印象をうけましたが、まだ病態解明には至っておらず、さらに研究が加速する印象をうけました。難治性黄斑円孔はその治療法としてinverted ILM flap techniqueの有効性が報告されて以来、注目され続けている分野です。本学会では自家網膜移植術の治療成績が報告され、アンメットメディカルニーズに対する治療として非常に興味深い内容でした。
琉球大学からの発表は以下の通りです。
12月6日(金)
・ランチョンセミナー1「nAMD治療の疾患活動性を考える」
発表 『PCV治療を再考する ~ポリープと視力の関係性~』 古泉英貴
・学術展示 脈絡膜・循環
座長 古泉英貴
・イブニングセミナー2 「最新網膜診断装置の活用法」
発表 『黄斑疾患とMP-3 ~私はこう使う~』 古泉英貴
12月7日(土)
・一般口演15
発表 『沖縄県における滲出型加齢黄斑変性の臨床的特徴』 玉城環
・イブニングセミナー4 「教えてくれんね!パキコロイド」
座長 古泉英貴
12月8日(日)
・モーニングセミナー4 「黄斑イメージング徹底分析」
発表 『Pachychoroid関連疾患の病態理解』 寺尾信宏
玉城環先生は一般口演で「沖縄県における滲出型加齢黄斑変性の臨床的特徴」について発表されました。大規模疫学研究である久米島スタディにおいて、沖縄県民は本土と比較し遠視および閉塞隅角が多いことが報告されており、眼球の解剖学的背景が異なると考えられています。本発表では、滲出型加齢黄斑変性に占める、近年新しく提唱されたpachychoroid neovasculopathy(PNV)の頻度について検討。結果、PNVの頻度は38.6%と本邦での既報と比較して高いことがわかりました。短眼軸、遠視とPNVの関わりはまだ限定的ですが、今後さらに研究を続けて、PNVをはじめとしたpachychoroid関連疾患の病態解明を目指したいと思える内容でした。
長崎は沖縄からは飛行機で1時間半と非常にアクセスがよく、移動には大変便利でした。長崎は異国文化、グルメ、史跡などが特に有名で、観光都市としてもさまざまな顔をもちます。学会場への移動には路面電車が有効でした。路面電車に揺られながら歴史ある街並みを堪能することができ、夜はおいしい中華や海鮮料理を楽しむことができました。
次回の網膜硝子体学会にはさらに充実した演題を発表していけるよう努力していきたいと思います。(寺尾信宏)