【第29回 日本緑内障学会参加報告】

琉球大学医学部 眼科

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【第29回 日本緑内障学会参加報告】

2018年9月14日(金)~16日(日)に新潟市の朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンターで開催された第29回日本緑内障学会に酒井寛、新垣淑邦、與那原理子、力石洋平の4名で参加させて頂きました。琉球大関連での最大のトピックは「PACD NOW!」とわざわざレトロな題名にしたシンポジウムであり、私酒井は、神戸市立神戸アイセンター病院長の栗本康夫先生と共に、原発閉塞隅角緑内障の最新情報に関するセッションのオーガナイザーを担当致しました。

シンガポールナショナルアイセンターのTin Aung教授も特別ゲストとして基調講演を担当頂き、神戸市立神戸アイセンター病院の吉水医師、東京大眼科ORTの藤野氏、当科の力石医師が最新の研究成果についてシンポジストとして講演を行いました。琉球大お得意のUBMによる毛様小帯脆弱の評価についての発表でしたが、臨床的有用性は極めて高く、今後さらに研究を発展させる必要があると考えます。

東京大学の朝岡先生のご指導の下、琉球大も共同研究させて頂いた原発閉塞隅角緑内障の視野の研究も2本のIOVS論文となり、本シンポジウムにおいてその一部が紹介されました。人工知能(AI)の活用などにより原発閉塞隅角緑内障の特徴や予後の診断が可能になる時代が目前に迫って来ていると考えております。あたらしい話題が少ない原発閉塞隅角緑内障分野ですが、失明予防が可能な疾患にも関わらず失明率が高いことが明らかになっており、臨床的な重要性はむしろ高まっていると考えます。研究を持続させることの重要性を再確認する良い機会でした。

当科、新垣医師のスーチャートラベクロトミーの術後1年の成績は学術展示でしたが、合併症の多さに警笛をならすものであり、この手術が決して低侵襲でないことは啓蒙する必要があると考えます。

與那原医師は、iStentの一年成績を口演致しました。これは、狭義でのMIGS、つまりデバイスを用いる手術で、実際に非常に低侵襲であり、成績も良好でありました。ガイドラインに則った成績としては国内で最も早い報告であり、今後のこの術式の普及に寄与する重要な発表になったかと思います。

学会全体としては、ゲノム編集や人工知能、遺伝子研究など先端技術がすでに普及していることを確認することができました。(酒井 寛)