【第92回九州眼科学会開催報告】

琉球大学医学部 眼科

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【第92回九州眼科学会開催報告】

2022年5月27日~5月29日、沖縄県市町村自治会館にて第92回九州眼科学会が開催されました。今回は当科の古泉教授が学会長で、コロナ禍の影響のため3年ぶりの現地開催となり、多数の施設から現地参加してくださり賑わっていました。私自身は初めての九州眼科学会参加で、他大学の後期研修医の先生の発表や、著名な先生方のセミナーを拝聴し、とても貴重な学びの時間を過ごさせて頂きました。

5月27日は角結膜や緑内障、網膜、感染症といった多岐にわたる分野の一般演題が盛りだくさんでした。私自身も続発色素緑内障の症例について発表させて頂き、初めての現地発表でとても緊張しました。質疑応答を通して、症例についてより考察を深める貴重な経験となりました。

ランチョンセミナー、アフタヌーンセミナーでは古泉教授が座長をされ、加齢黄斑変性など網膜疾患の治療最前線について学ばせて頂きました。最近はweb講演会の開催など便利な時代ではありますが、やはり現地での講演は活発な質問やディスカッションが目の前で交わされ、とても刺激を受けました。

5月28日はセミナーや招待講演を中心とした日程でした。古泉教授が「全ての眼科医やスタッフへのメッセージ性の強い内容」とのコンセプトでプログラムを企画して下さったとのことで、私たち若手医師にも分かりやすく、そして今後の診療に実践できるような講演でした。

特に印象に残ったのは、木下茂先生による「角膜診療の過去、現在、そして近未来」というご講演でした。題名の通り、角膜治療の歴史から、今後の角膜医療の進展についてお話してくださりました。今後の角膜治療は再生医療の再ブームとのことで、自家培養角膜上皮シートなどについて実際の症例提示で分かりやすく解説してくださりました。そして、京都府立医科大学で医師主導治験が行われた角膜内皮細胞注入法については今後の治療展望についてわくわくするような内容でした。これまでの角膜移植と異なり、1人のドナー患者から1000人分の角膜内皮細胞を培養できること、拒絶反応が起こらないこと、若年者細胞を移植することによって移植後の内皮細胞数維持を期待できることなど、これまで困難であったことを実現している治療でした。木下先生が取り組まれた研究のように、「be innovative, be internationalであれ」というメッセージにとても感銘を受けました。

最終日5月29日は、14時までの日程でしたが、眼科講習会、ランチョンセミナー、教育講座と密な学習内容でした。最終日まで充実した内容が盛りだくさんで、また明日から始まる日常診療に活かしていこうと気が引き締まりました。

今回の九州眼科学会は琉球大学主催という貴重な機会であり、企画運営を中心に行ってくださった古泉教授、山内先生をはじめ、学会発表についてご指導くださった先生方、沖縄まで来てくださった多くの先生方に感謝致します。(眞榮平茉莉奈)