2025年6月20日から22日にかけて、福岡国際会議場にて「第40回 JSCRS 学術総会」が開催されました。今回は会長企画シンポジウム「白内障手術教育〜南の国から〜」にて発表の機会を頂き、準備段階から緊張しながら臨みました。
発表は二日目に予定されていたため、初日はさまざまなセミナーを聴講いたしました。教育セミナー2では、逢着や強膜内固定についてのご講演がありました。現在は強膜内固定が主流となりつつありますが、それでも逢着が有用とされる場面について具体的にご教示いただき、非常に参考になりました。教育セミナー3では、フェイコマシンの設定値といった実践的な話題に加え、超音波発振による音響キャビテーションや、衝撃圧力に伴うフリーラジカルの発生など、基本原理についても改めて学び直すことができ、大変有意義でした。ランチョンセミナーでは、Heads-up Surgery のエルゴノミクスへの影響や、UNITY VCS の臨床使用経験など、興味深い発表が続きました。手術を始めた頃と比較しても、技術の進歩を肌で感じることができました。特別講演では、東京女子医科大学 足立医療センター 副院長 兼 眼科教授の須藤先生による「幸齢社会の実現に向けた白内障手術」と題したご講演を拝聴しました。嚢外固定のスライディングスケール、眼球プロポーションを踏まえた術後屈折の設計、糖尿病網膜症や黄斑浮腫を合併する症例における手術のタイミングなど、これまで先生が疑問を抱き、試行錯誤を重ねながら得られた知見をご紹介いただきました。教科書では触れられない現場での積み重ねを知り、改めて深く感銘を受けました。
二日目は、自身の発表がメインとなりました。手術教育という大きなテーマの中で、これまでの取り組みを客観的に振り返る貴重な機会となりました。教育を受ける立場から、教育する立場へと移った現在、白内障術者をいかに効率的に育てるかという課題に対し、これまでの経験と考察を率直にお伝えしました。明確な答えのないテーマではありますが、教育に携われることへの責任と使命感を改めて実感し、今後も指導医として研鑽を重ねていきたいと考えております。このような貴重な機会をくださった学会長の太田俊彦先生、座長を務めてくださった園田康平教授、吉富文昭先生、また活発な議論を交わしてくださった九州圏のシンポジストの先生方に、心より御礼申し上げます。
今回は最終日を待たずして帰路に着くこととなり、多くの魅力的なセッションに参加できなかったことは心残りでしたが、自身の発表を含め、非常に充実した時間を過ごすことができました。最後になりますが、学会長の太田俊彦先生をはじめ、本学会の運営にご尽力くださったすべての関係者の皆様に、改めて深く感謝申し上げます。(文責 澤口翔太)