この度、第7回日本眼循環学会学会賞「若手奨励賞」を受賞し、第40回日本眼循環学会にて受賞講演をさせていただきましたことをご報告いたします。令和5年度日本眼科学会学術奨励賞に続き、このような栄誉ある賞をいただけたことを大変嬉しく思います。
本研究は、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)における脈絡膜異常および脈絡膜循環障害が、厚い強膜によって発症し、CSCが厚い強膜により遷延する可能性を示しました。CSCの病態に厚い強膜が影響することを多数報告し、これによりCSCおよびパキコロイド関連疾患の新たな病態理解と、強膜へのアプローチが病態に即した疾患予防および治療戦略の一助となりうる可能性を示しました。
本学会におけるシンポジウム1「パキコロイドの病態~ズバリ私はこう考える~」では、パキコロイドの病態や原因、脈絡膜血管構造や強膜の関与について激論が交わされました。パキコロイドに対する強膜の影響について否定的な意見も多数いただき、我々の研究が評価される一方で、まだまだ論理的な裏付けや検証が不足していることを強く感じました。今後もパキコロイドに対する強膜の関連について、質の高い報告を重ねる必要があり、また他のアプローチからも脈絡膜における強膜の影響を勘案していく必要があると再認識しました。
学会や懇親会では、多数の先生方から激励の言葉をいただきました。この場を借りて深く御礼申し上げます。学会の翌日から懲りずに多数の硝子体手術を行いましたが、これからも手術と臨床研究の二刀流で邁進していく所存です。
最後に、厳しくも暖かくご指導いただいた古泉英貴教授、寺尾信宏先生、琉球大学網膜硝子体グループの先生方、視能訓練士の方々、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。また、このような機会を与えてくださった眼循環学会主任代表理事の石田晋先生、学会長の石龍鉄樹先生、眼循環学会の理事の先生方に深く感謝申し上げます。今後もパキコロイドの病態解明、診断、治療に迫る臨床的研究に取り組んで参ります。(今永直也)