カテゴリー: 眼科ブログ

琉球大学医学部 眼科

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【The Macula Society 45th Annual Meeting 参加報告】

2022年6月8日(水)~11日(土)にドイツ・ベルリンで開催されたThe Macula Society 45th Annual Meetingで発表をしてきました。実に2年5ヵ月ぶりの海外出張で、大学もコロナ禍以降前例がないとのことで参加を迷っていましたが、同行の先生方にも背中を押して頂き、思いきって渡航しました。ドイツ入国はワクチン接種証明のみでOK、街は9割ぐらいがノーマスクに見えました。さすがに会場ではマスク着用が義務付けられ、従来の半分ほどの参加者の印象でした。日本からは岸名誉教授(群馬大)、大野教授(東京医歯大)、近藤教授(三重大)、古泉の4名が発表しましたが、日本の研究レベルの高さやプレゼンスをアピールでき、大変有意義な時間でした。海外の多くの友人達とも久しぶりにin personで交流することができ、やはりweb学会は様々な意味で限界があることを再認識した次第です。学会の内容も素晴らしかったのですが、今回は何といっても大野教授が日本人初のGass Medalを受賞され、自分のことのように誇らしい出来事でした。今回は渡航準備の段階から4人で密に情報交換を行い、それぞれの発表の応援をし、まさに戦友のような気分でした。現地でも学術的なことだけでなく、教室運営に関しても十分に意見交換を行うことができたのも収穫でした。もう世界はポストコロナにむけて既に動き出しています。今の鎖国のような状態から一日でも早く脱却し、教室の先生方が世界に向けて羽ばたける環境づくりを行っていきたいと思います。(古泉英貴)

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【第92回九州眼科学会開催報告】

2022年5月27日~5月29日、沖縄県市町村自治会館にて第92回九州眼科学会が開催されました。今回は当科の古泉教授が学会長で、コロナ禍の影響のため3年ぶりの現地開催となり、多数の施設から現地参加してくださり賑わっていました。私自身は初めての九州眼科学会参加で、他大学の後期研修医の先生の発表や、著名な先生方のセミナーを拝聴し、とても貴重な学びの時間を過ごさせて頂きました。

5月27日は角結膜や緑内障、網膜、感染症といった多岐にわたる分野の一般演題が盛りだくさんでした。私自身も続発色素緑内障の症例について発表させて頂き、初めての現地発表でとても緊張しました。質疑応答を通して、症例についてより考察を深める貴重な経験となりました。

ランチョンセミナー、アフタヌーンセミナーでは古泉教授が座長をされ、加齢黄斑変性など網膜疾患の治療最前線について学ばせて頂きました。最近はweb講演会の開催など便利な時代ではありますが、やはり現地での講演は活発な質問やディスカッションが目の前で交わされ、とても刺激を受けました。

5月28日はセミナーや招待講演を中心とした日程でした。古泉教授が「全ての眼科医やスタッフへのメッセージ性の強い内容」とのコンセプトでプログラムを企画して下さったとのことで、私たち若手医師にも分かりやすく、そして今後の診療に実践できるような講演でした。

特に印象に残ったのは、木下茂先生による「角膜診療の過去、現在、そして近未来」というご講演でした。題名の通り、角膜治療の歴史から、今後の角膜医療の進展についてお話してくださりました。今後の角膜治療は再生医療の再ブームとのことで、自家培養角膜上皮シートなどについて実際の症例提示で分かりやすく解説してくださりました。そして、京都府立医科大学で医師主導治験が行われた角膜内皮細胞注入法については今後の治療展望についてわくわくするような内容でした。これまでの角膜移植と異なり、1人のドナー患者から1000人分の角膜内皮細胞を培養できること、拒絶反応が起こらないこと、若年者細胞を移植することによって移植後の内皮細胞数維持を期待できることなど、これまで困難であったことを実現している治療でした。木下先生が取り組まれた研究のように、「be innovative, be internationalであれ」というメッセージにとても感銘を受けました。

最終日5月29日は、14時までの日程でしたが、眼科講習会、ランチョンセミナー、教育講座と密な学習内容でした。最終日まで充実した内容が盛りだくさんで、また明日から始まる日常診療に活かしていこうと気が引き締まりました。

今回の九州眼科学会は琉球大学主催という貴重な機会であり、企画運営を中心に行ってくださった古泉教授、山内先生をはじめ、学会発表についてご指導くださった先生方、沖縄まで来てくださった多くの先生方に感謝致します。(眞榮平茉莉奈)

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【Fuji Retina 参加報告】

2022年4月23日、24日に東京虎ノ門ヒルズフォーラムでFuji Retinaが開催され、当科から古泉教授、今永先生、澤口の3名で参加致しました。昨今、日本の国際競争力の低下が指摘される中で、鹿児島大学の坂本教授の音頭で『日本が主導する国際学会』が開催され、国内に居ながらに海外学会の雰囲気が味わえる貴重な機会となりました。

 当科からは古泉教授、今永先生、澤口がe-posterで発表しました。英語での発表は初めてであり、何が何だか分からない内に終わってしまいました。古泉教授はモーニングセミナー講演とAMDのパネルディスカッションのchairも務められました。

 二日間の充実したプログラムも当然のことながら全てが英語であり、難解な部分も多くありましたが、改めて最新の情報にアクセスするのに、英語は最低限の教養なのだと実感しました。また国内の先生方の英語でのやり取りも格好良く、国際的な場でやり取りする上で日々努力されているのだと改めて尊敬の念を抱きました。

 依然として新型コロナウイルスの影響がある中での学会開催となり、鹿児島大学の坂本教授をはじめ、本学会に関係された多くの方々に深く感謝したく存じます。この学会と通して得た経験を風化させず、今後の診療や研究に臨んでいきたいと思います。(澤口翔太)

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【第126回日本眼科学会総会参加報告】

2022年4月14日から17日に大阪国際会議場で開催された第126回日本眼科学会総会に参加させて頂きました。入局してからは初めて、現地で参加させて頂きました。今までは新型コロナウイルス感染の状況もあったため、他学会はオンラインでの参加をしていましたが、今回は現地でリアルな学会の雰囲気を感じることができて素晴らしい経験となりました。

 当科からは古泉英貴教授が教育セミナー、山内遵秀先生がサブスペシャリティサンデー、今永直也先生が一般講演でご講演されました。古泉教授は「OCT読影の基本」という演題で、様々な黄斑疾患の症例をもとに、OCTの読影に関してご講演頂きました。山内先生は「最新の硝子体手術デバイス」という演題で、実際の手術動画を交えて硝子体手術デバイスに関してご講演頂きました。今永先生は「中心性漿液性脈絡網膜症の新規国際分類と強膜厚」という演題でCSCの新規分類と強膜厚の関係に関してご講演頂きました。普段一緒に仕事をしている先生方が、本学会のような大きな学会でたくさんの注目を浴びながら堂々と講演をする姿はとてもかっこよく、感銘を受けました。また、引用論文として玉城環先生の名前を聞くこともあり、当科の先生達の研究の業績を改めて感じました。

 本学会の4日間で、一般講演やランチョンセミナー、イブニングセミナー、教育セミナー、シンポジウム、特別講演・招待講演など様々なセッションに参加できました。一般講演では演者の先生だけでなく、質疑応答で会場の先生たち同士で熱い議論をしたりと、現地開催ならではの学会の雰囲気を感じることができました。各セミナーでは角膜感染症や眼光学、眼病理など、日頃なかなか聞くことのできない内容を学ぶことができました。招待講演ではベルン大学の Sebastian Wolf 先生と京都大学 iPS 研究所の山中伸弥先生の講演を拝聴しました。Wolf先生の講演はビデオ配信でしたが、山中先生は現地で直接お話を聞くことができました。その他にもたくさんの素晴らしい先生達のお話を聞くことができ、研究内容だけでなく研究に対する姿勢なども学ぶことができました。

 最後になりますが、新型コロナウイルスの影響もある中、本学会を開催して頂いた大阪大学の西田幸二教授をはじめ、開催に携わられた多くの関係者の方々に深く感謝したいと思います。至る所に感染対策の配慮がなされており、安心して現地で参加することができました。今回の経験を活かして、今後の診療や研究に精進していきたいと思います。 (宮良安宣)

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【第60回日本網膜硝子体学会総会参加報告】

2021年12月3日~5日に東京国際フォーラムで開催された網膜硝子体学会に参加させて頂きました。琉球大学からは古泉先生、今永先生、澤口先生、愛知先生、玉城先生が参加されました。9月末まで一緒に勤務させて頂いた寺尾先生も参加され、久しぶりにお会いすることができました。幸いにもコロナ感染状況が落ち着いている期間だったので現地開催で参加することができました。私にとって初めての眼科学会参加でしたので、緊張と楽しみな気持ちで当日を迎えました。網膜硝子体学会と名前の通り、網膜専門の先生方が集結し、演題も網膜疾患について深く掘り下げた内容でした。

1日目は愛知先生、今永先生の中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)についての発表がありました。愛知先生は片眼性CSCの発症眼・未発症僚眼の強膜厚について、今永先生はCSCに対する光線力学療法後の強膜厚変化について発表されていました。現在琉球大学が力を入れて研究しているテーマについて学会の場で拝聴でき、勉強になるとともに刺激を受けました。診療を通して得られた結果をこのように発表して、新たな知見として認識されるようになる過程を肌で感じることができました。

2日目はモーニングセミナーで古泉先生がOCT-S1の魅力と可能性についてレクチャーしてくださりました。実際に琉球大学で撮影された症例を振り返りながら機械の特性と、検査に適した疾患について分かりやすく解説して下さりました。忙しい日常診療にすぐに活かせる学びの多いレクチャーでした。

また、2日目で特に印象に残っているのは、第60回記念企画である「レジェンドからのメッセージ」でした。網膜硝子体研究および診療の発展に多大な功績を残された三宅養三先生、竹内忍先生、岸章治先生、石橋達朗先生がご登壇されました。三宅養三先生は研究について「運・鈍・根」という言葉で語られました。おもしろい研究にたどりつくヒラメキを得る「運」にたどり着くには、辛抱強く「鈍・根」で耐える過程が重要である、というお言葉でした。私が医学を学び始めた頃には、教科書に掲載され誰もが知っている網膜電図を世界で初めて発表された三宅先生のお言葉を直接拝聴できるまたとない機会でした。私自身の仕事においても辛いことがあればこの言葉を思い出そうと、感銘を受けました。

3日目は古泉先生が座長を務められた、網膜硝子体疾患の画像診断について教育セミナーがありました。寺尾先生がOCTについてレクチャーしてくださりました。OCTについて日常診療でよく遭遇する疾患について具体的な症例を多くあげてとても分かりやすく充実した勉強の機会となりました。 3日間という長いようであっという間の充実した学びの期間でした。日中はたくさんの講演を拝聴し刺激を受け、夜には懇親会で先生方と交流を深めることができました。とても楽しく充実した初めての学会参加でした。このような機会をいただけたことに感謝し、これからの診療も精進して参りたいと思います。(眞榮平茉里奈)

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【第75回日本臨床眼科学会参加報告】

2021年10月28日~31日、福岡市で開催された第75回日本臨床眼科学会に参加させて頂きました。コロナウイルスの流行がようやく落ち着き始めたため、今回現地にて参加する事が出来ました。琉球大学眼科からは、大城綾乃先生、愛知高明先生、今永直也先生、古泉英貴教授も参加されました。

 臨床眼科学会は様々な専門分野の先生方が集まり、インストラクションコースなど若手にも分かり易い講義が盛り沢山であるため、とても楽しみにしていました。初日から、白内障手術における患者満足度を上昇させるためのインストラクションコース、ランチョンセミナーでは、日常診療に役立つ遺伝性網膜疾患の基礎を勉強できました。メインは大城綾乃先生と今永直也先生の発表で、お二人とも堂々とした発表と、その分野でご活躍されている先生方との白熱した討論で会場を盛り上げていました。身近な先生方のその様な姿を見て、とても刺激になりました。

 2日目は、朝早くからモーニングセミナーを聞いた後、古泉教授をはじめ、加齢黄斑変性を専門とする先生方のシンポジウムがありました。古泉教授は『抗VEGF薬治療の多施設研究』を発表されました。加齢黄斑変性の治療変遷や日本、アジアでの萎縮型加齢黄斑変性の多施設研究など、多くの最新知見が得られました。ランチョンセミナーで日常診療に潜む診断や落とし穴を勉強し、機械展示で最新の機器に触れた後、古泉教授が座長を務めるパキコロイド関連の発表を聞きました。CSCをはじめ、病態の解明に注目が集まる今、様々な切り口の研究に触れることが出来、大変興味深かったです。イブニングセミナー『激論 勤務医のそこまで言っていいんかい ! 』では、古泉教授と九州大学の園田康平教授から、それぞれの歴史や医局での取り組みなどの熱い思いを聞けました。お二人とも海外で研究され、有意義な時間を過ごし、そして研究は人生を豊かにするという言葉がとても心に響きました。また園田教授が、忙しい時は一つづつ向き合うんだと仰っており、どんなに忙しくても毎日一つづつ、少しでも自分を高めながら将来に向け努めていこうと思いました。

 3日目は、招待講演での山形大学の嘉山孝正先生のご講演を拝聴し、導出だけでなく論証をし、きちんと自分の頭で考えることの大切さを改めて意識しました。午後のインストラクションコースの『眼底自発蛍光を使いこなす』では、自発蛍光の原理や使い方をはじめ、網膜ジストロフィ、加齢黄斑変性症の前駆病変であるドルーゼン、ぶどう膜炎など様々な疾患での自発蛍光のポイントを学びました。角田和繁先生の仰っていた様に、網膜ジストロフィでは自発蛍光が診断に必須の事も多いため、日常診療で自発蛍光を活用し診断のヒントにしていこうと思いました。

 4日目は、私の発表をさせて頂きました。網膜色素線条と原田病の合併例に関する症例報告で、緊張しましたが、無事発表を終えることが出来ました。その場で発表する事は、眼科に入局後初めてでしたが、良い緊張感でとても刺激的でした。

 4日間、本当に朝から夕方まで、多くの事を学び、とても充実した日々を過ごせました。北海道大学の南場研一先生、九州大学の園田康平教授、東京医療センターの角田和繁先生など、多くの高名な先生方ともお話することができ、とても感動し、今後のモチベーションへと繋がっております。本当に有難うございました。最後になりますが、学会長の坂本泰二教授をはじめ、開催に携われた関係各所の皆様方におかれましては、昨今の状況の中での開催となり大変なご苦労だったかと存じます。素晴らしい講演をいくつも拝聴することができ、大変感謝しております。今回学んだことを日々の診療に活かし、また、将来に向けより一層精進していきたいと思います。(我謝 朱莉)

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【第32回日本緑内障学会参加報告】

2021年9月10日~12日に国立京都国際会館で開催された第32回日本緑内障学会に参加させて頂きました。今回、現地開催とWeb開催を併用するハイブリッド開催となりましたが、コロナウイルス感染拡大の現状を鑑み、Webでの参加とさせて頂きました。

 初日は通常の業務があったため、残念ながら少ない時間しか参加できませんでしたが、琉球大学病院眼科の先輩である北村優佳先生の口演を拝聴することができました。日々共に診療に励む先生が堂々と発表する姿は、とても刺激になりました。

 2日目、3日目は時間をとって様々な講演を拝聴することができました。以前、琉球大学病院でも診療されていた酒井寛先生による原発閉塞隅角病についての講演をはじめ、緑内障の診断や治療についての教育セミナーや専攻医・コメディカル向けのプログラムが充実しており、大変勉強になりました。OCTは網膜神経線維層欠損の検出に優れていますが、それだけに頼ってしまうと誤診が増えること、乳頭出血や色調陥凹解離などOCTでは認知できない重要な検眼鏡的所見があることなど、今までの診療を振り返り今後の診療に活かせる内容が多くありました。時間の関係上、どうしても拝聴することができなかった講演もありましたが、今後オンデマンド配信も予定されているため、配信されるのを今か今かと心待ちにしております。

 最後になりますが、学会長の相原一教授をはじめ、開催に携われた関係各所の皆様方におかれましては、昨今の状況の中での開催となり大変なご苦労だったかと存じます。素晴らしい講演をいくつも拝聴することができ、大変感謝しております。今回学んだことを日々の診療に活かせるよう、精進していきたいと思います。(宮良安宣)

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【第125回日本眼科学会総会参加報告】 

 2021年4月8日〜11日に大阪国際会議場で開催された第125回日本眼科学会総会に参加させて頂きました。私個人としては入局してから初の現地開催の学会参加となりました。コロナ感染拡大が危惧される中でしたが、多くの実りある時間を過ごすことができました。
 初日にはCSCに関する一般講演を拝聴しました。当科から今永直也先生が『CSCの強膜厚と脈絡膜構造』という演題で発表されており、現在当科がCSCにおいて注目している強膜厚に関して新規の知見を報告されました。
 古泉教授と五味教授がオーガナイザーを務められたシンポジウムは、現在注目されているPachychoroid関連疾患に関して、大家の先生方をお招きした講演でした。当科からは寺尾信宏先生が『Pachychoroidのサイトカイン動態』について講演されました。Pachychoroid関連疾患の前房水からサイトカインを抽出し、その動態を調べた研究でした。労力を要する研究をコツコツと積み上げていくことの大変さに思いを馳せると同時に、臨床で抱く疑問を追求していくことで新たな発見を生み出す達成感が研究にはあるのだと思いながら拝聴しました。 
 最終日のモーニングセミナーでは古泉教授が講演された『滲出型加齢黄斑変性の病態と治療を再考する』を拝聴しました。Pachychoroid関連疾患とAMDの病態の違いに触れられ、そのマネージメントについても詳しく御教授頂きました。普段医局で何気なくお話させて貰っているので、学会場で注目を浴びる教授の姿は大変新鮮でした。
 この4日間で様々なセッションに参加しました。眼科医2年目の自分としては、特に白内障手術を執刀する機会も増えており、白内障関連のランチョンセミナーや教育セミナーにも参加しました。普段聞けない話が聞けて、非常に勉強になる毎日でした。また池田恒彦教授や坂本泰二教授の特別講演では、日々の疑問を突き詰めていく姿勢の重要性や、今注目されているAIの可能性なども聞けて興味深く拝聴しておりました。21世紀は人間とAIが共存し発展していくだろう、という見解に今後の医療に対する期待が膨らみました。
 今回、現地開催での学会に初めて参加させていただきましたが、至る所に感染対策の配慮がされており、安心して現地で参加することができました。学会長の高橋寛二教授をはじめ、関係各所の皆様方におかれましては、開催も危ぶまれる中で大変なご苦労だったかと存じます。また高橋教授が総会において、昨年現地開催できなかった後藤浩教授の気持ちにも触れられていたのも印象的でした。最後になりますが、多くの関係者の方々の想いが詰まった本学会に参加させて頂き、大変感謝しております。今回の経験を活かして、日々頑張っていきたいと思います。 (文責 根本蒼)

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【第59回日本網膜硝子体学会総会参加報告】

 2020年11月27日〜29日に福岡国際会議場で開催された第59回日本網膜硝子体学会総会に参加しました。初めての学会参加で、盛り沢山な内容に圧倒されましたが、現地に赴いてのリアルな学会の雰囲気を肌で感じることができました。

 網膜硝子体関連の疾患に関する研究発表だけでなく、今後ますます注目を浴びるデータサイエンスや我が国における他施設共同研究の発表が多く、非常に刺激的でした。ランチョンセミナーでは「白熱!硝子体倶楽部―Round 4―」を拝聴しました。硝子体術者の先生方が上手くいかなかった症例に関して、文字通り白熱した議論を交わしていました。同じ症例でも様々な考え方があるのだと、改めて硝子体手術の奥深さを知ることができました。

 当科からは今永直也先生が優秀演題シンポジウムにおいて、古泉英貴教授がランチョンセミナー、モーニングセミナーでご講演されました。今永先生は「Clinical factors for loculation of fluid in central serous chorioretinopathy」という演題で、loculation of fluidが強膜や脈絡膜の厚さに関連するという内容でした。新規治療法に繋がる可能性も示唆しており今後の発展が待たれます。また古泉教授のランチョンセミナーではAMD治療における抗VEGF薬の適切な使い方としてT&Eが選ばれる理由について、モーニングセミナーではAMD診療を索引するスペシャリストの3名の中でAMDの検査の進化についてご講演頂きました。大きな会場で講演される古泉教授を見て、普段から日常診療や症例検討会で教授よりご指導頂けているのはとても贅沢なことなのだと気付かされました。

 その他にも田野YIA受賞講演や盛賞受賞講演、Lowenstein教授の招待講演も刺激的でした。現在自分が診療に活かしている知識も元は研究にご尽力された先生方の賜物であり、感謝すると同時に自分も日々の診療から疑問を持ち研究するマインドを高めていきたいな、と感じました。

 最後になりますがCOVID-19が蔓延している中、ハイブリッド開催を取り仕切って頂いた鹿児島大学の坂本泰二教授をはじめ、開催に携わられた多くの関係者の方々に深く感謝したいと思います。会場の至る所で感染に留意した配慮がなされており、安心して現地で聴講することができました。(我謝朱莉)

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【第43回 日本眼科手術学会学術総会報告】

2020年1月24日~26日に東京国際フォーラムで開催された第43回日本眼科手術学会学術総会に参加してきました。眼科手術に関する幅広い分野のお話を聞くことができる学会です。網膜硝子体の分野では、難治性糖尿病黄斑浮腫の治療について神戸大学の今井尚徳先生の講演の中で興味深いお話がありました。難治性糖尿病黄斑浮腫の嚢胞内にフィブリノーゲン塊を形成する症例が存在し、嚢胞様腔内壁切開術を併用してフィブリノーゲン塊を摘出することが黄斑浮腫軽減と視力改善に有効である可能性を報告していました。

黄斑浮腫の治療として現在は、抗VEGF抗体硝子体内注射、ステロイドテノン嚢下注射、血管瘤への直接凝固、硝子体手術などがありますが、どの治療を行っても浮腫が遷延する症例が存在しており、この治療が有効であれば治療の次の一手として患者さんの福音になると思いますので当院でも検討していきたいと思いました。

ここ最近眼科手術で話題になっている笑気麻酔の講演を聞くことができました。眼科手術は局所麻酔で手術することがほとんどで、緊張が強い方はミタゾラムなどの鎮静剤を静注して対応していますが、点滴ラインの確保が必要で呼吸抑制のリスクと覚醒するまでに時間を要する難点がありました。それに対して笑気麻酔は酸素と一緒に吸う吸入麻酔になるため簡便で呼吸抑制もなく、吸入を止めてすぐに覚醒することができます。不穏で動く方や顕微鏡の光がまぶしくて上転する方、無意識にキョロキョロする方も笑気麻酔でだいぶ軽減するようです。鎮痛のための局所麻酔は必要ですが、患者さんの緊張を和らげて手術もやりやすくなるため患者さんと医師双方に優しい非常に有用なツールになると思いました。当院でも導入できるか検討していきたいと思います。

ハートライフ病院の親川先生が講演したDMEKのお話も聞くことができました。日本の角膜のパーツ移植はDSAEKが多いようですが、ドイツではほとんどDMEKが行われているようです。DMEKは拒絶反応が少なく、早期から視力回復が得られ非常に良い方法のようですが、日本人は浅前房で硝子体圧が高く、虹彩色素の影響で視認性が悪いなど技術的に移植を難しくしている解剖学的要因があるようです。しかし、それを克服しようと日本の医師が果敢に挑戦している姿が講演から感じることができて大変感銘を受けました。今後日本にDMEKが広まる日が近いと感じました。

私は今回、大阪労災病院の恵美和幸先生が座長を務める硝子体道場で講演をさせて頂く貴重な機会を頂きました。恵美和幸先生は硝子体サージャンのレジェンドで私自身学会に参加するときには硝子体道場は必ず聴講していました。全国の凄腕硝子体サージャンの手術をみることができるとても楽しい会です。「道を極める」というテーマを頂き、どのように講演しようか迷いましたが、今まで自分が経験した症例を通して硝子体手術の基本手技を中心に重症例に対する対処法、スキルをあげるために心がけていることをお話させて頂きました。新潟大学の長谷部日先生、大阪労災病院の池田俊英先生、順天堂大の太田俊彦先生、座長の恵美和幸先生の症例も大変刺激になり今後の手術の参考になるものばかりでした。多くの事を学ぶことができた学会でした。今後の診療に役立てていきたいと思います。

(山内遵秀)