カテゴリー: 眼科ブログ

琉球大学医学部 眼科

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【APVRS 2025 参加報告】

2025年12月1日~14日にフィリピン・マニラで開催されたAsia-Pacific Vitreo-Retina Society (APVRS)に参加してきました。本学会には何かと役割を頂き、2016年のバンコクからコロナ禍を挟んで10年連続で参加しています。今回は治安面を少し気にしておりましたが、昨年琉大で1か月研修していたDr. Jose Chua(Jom先生)が空港までの送迎や観光までアテンドしてくれたお陰で、大変安全で充実した時間となりました。

学会で印象に残ったのはまずDennis Lamレクチャーでの大野京子先生(東京科学大学)の受賞講演で、世界的に圧倒的な業績をお持ちなのは言うまでもありませんが、アジア圏からも多数の留学生を受け入れ、母国でのリーダーになるべくレールを引いておられることを再認識し、そのビジョンの広さに大変感銘を受けました。もう一つは日本の若手がYoung Ophthalmologistsのプログラムでも大活躍し、Gala Dinnerでも流暢な英語で各国のドクターと積極的に交流を深めていたことです。やはり今の時代でも英語力は強力な武器であり、それを鍛えるにはできるだけ若い時から、場数を踏むことが必要です。日本眼科学会のYOCなどの取り組みが確実に実を結んできているようで大変嬉しく思いました。

APVRSは演者が急にドタキャンしたりなど、運営面では少々問題が残りますが、サイエンスだけでなく、アジアの友人達との旧交を温め、新しい出会いの場を提供してくれる貴重な場になっています。既にシニアの年齢に差し掛かってきた自身の使命は、施設を超えて日本の将来有望な若手と世界を繋ぐことと考えています。来年は8月にゴールドコーストで開催されますので(現地の友人によれば、なんとか頑張れば泳げる季節らしいです、、、、)、日本からも多くが参加し、さらなるジャパンパワーを存分に見せる機会になることを願っています。(古泉英貴)

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【IOCS & 第64回日本網膜硝子体学会 参加報告】

12月上旬、東京国際フォーラムで開催された IOCS(International Ophthalmic Circulation Symposium) と 第64回日本網膜硝子体学会総会 に参加してきました。今年は両学会の合同開催ということで、眼循環から網膜硝子体手術、画像診断技術まで、幅広い分野が交差する非常に密度の高い3日間でした。

私はIOCSのSession 2 “Retina: Age Related Macular Degeneration”で、「PS-OCTを用いたCSCにおける強膜複屈折の解析」について発表しました。CSCの背景にある強膜の構造的要因を掘り下げた内容で、「眼球後部の力学特性」や「加齢とコラーゲン構造変化」といった視点から、参加者の方々と活発に議論することができました。
印象的だったのは、飯田知弘先生による盛賞受賞講演。「黄斑とは何か?」という問いに40年近く向き合ってこられた先生の研究の軌跡(ICGA → OCT → 数理モデル)は圧巻で、進化・構造・機能・数理を統合する姿勢に深く感銘を受けました。若手研究者に向けたメッセージもあり、自分の研究に対するモチベーションを再確認できる時間でした。
シンポジウムでは、硝子体手術の「今と未来」に関する話題が多く取り上げられました。小切開化による低侵襲化、Heads-up Surgeryやロボット支援手術など、すでに臨床で実用され始めている最新技術に触れ、「完成された技術」だと思っていた硝子体手術が、実は今まさに進化し続けていることを実感。術者としても、変化に置いていかれないよう学び続ける必要があるなと強く感じました。

また、Spaide先生の招待講演では、超広角Swept Source OCT × 高度な画像処理 によって硝子体の三次元構造が驚くほどクリアに描出されており、網膜硝子体境界の理解がさらに深まっていることを実感しました。イメージングの領域も現在のOCTから偏光OCTやドップラーOCTなどでの新知見が次々と発表されているな、と思っていたら、学会の直後に当科の大城綾乃先生による偏光OCTを用いた急性期VKHの解析がIOVSにアクセプトされたといううれしいニュースも飛び込んできました。まさに、画像解析の進歩と臨床応用が結びつき始めている瞬間を感じた学会でもありました。

今後も、イメージング技術と病態理解をつなぐ研究をさらに深め、現場に還元できるよう努めていきたいと思います!(今永直也)

 

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【AAO 2025 参加報告】

2025年10月17日~20日に米国オーランドで開催された米国眼科学会(AAO: American Academy of Ophthalmologyに参加してきました。AAOの参加はパンデミック以降6年振りでしたが、Retina Subspecialty Dayは大変得るものが多かったですし、今回はChoroidal Imagingのインストラクションコースにも声掛け頂き、大変貴重な時間となりました。ただ、ポスター発表が全てe-posterになっており、ディスカッションの機会が少なくなっていることは個人的には残念でした。若い頃に採択率の低いAAOで採択された時の嬉しさや、渡米の時の高揚感を懐かしく思い出していました。良い面としてはほとんどの講演がオンデマンドでも聴けるようになっており、jetlagで毎回苦しむ日本人にとっては有り難いことだと思いました。AAOはやはり世界最大の眼科学会で完成度が高く、琉大の若い先生も連れて参加したいと思います。(古泉英貴)

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【第79回日本臨床眼科学会 参加報告】

 2025年10月9日から12日まで、大阪市のグランキューブ大阪およびリーガロイヤルホテル大阪にて開催された第79回日本臨床眼科学会に参加いたしました。本学会では、臨床現場に即した演題・セッションが数多く企画されており、日常診療に直結する知見を得るうえで非常に有意義な場となりました。

 私は「琉球大学病院における眼トキソプラズマ症に対する硝子体手術の検討」という演題で発表を行いました。今回が初めての大きな全国学会での発表であり、準備段階から大きな緊張とプレッシャーを感じていましたが、指導医である大城綾乃先生、今永直也先生の丁寧なご指導とサポートのおかげで、無事に発表を終えることができました。発表当日は多くの先生方からご質問やご意見をいただき、疾患理解や手術適応ついて改めて整理する貴重な機会となりました。当院からは今永直也先生、大城綾乃先生、視能訓練士の冨山亜季子さん、荻堂裕司先生も発表されており、各先生方の堂々と発表する姿も私自身の大きな刺激となりました。

 また学会期間中は、インストラクションコースやシンポジウムに積極的に参加しました。各分野のプロフェッショナルとして活躍されている先生方によるご講演は学びが多く、ぶどう膜炎関連、網膜疾患、角結膜疾患、IOL選択や画像診断の最新技術といった幅広い分野の講演に参加し、今後の診療に応用可能な新しい手法や考え方を知ることができました。今月から当院の緑内障グループで学び始めた私にとって、特別講演1の相原一先生による「What is glaucoma?―眼圧との戦い―」は特に印象的であり、眼圧に関する謎がまだまだあることや今後の治療の可能性など興味深い内容で、緑内障に関する疾患理解が高まりました。これらの内容は直ちに日常診療に取り入れたい知見ばかりで、学びを得た充実した時間でした。他にも惜しくも参加できなかった講演に関しましては、後日配信されるオンデマンドを楽しみにしたいと思います。

 今回琉球大学眼科に入局して初めての学会参加・発表となりましたが、この機会を通じて、全国の眼科医による多様な視点から最新の知見を学ぶことができたと感じます。今回の経験を糧に、今後の臨床に活かしていきたいと思います。

 最後になりましたが、本学会を主催・運営された皆さま、そしてご指導くださった大城先生をはじめとする琉球大学眼科の先生方に、心より感謝申し上げます。(佐藤眞麟)

 

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【Euretina 2025 in Paris 参加報告】

2025年9月4日~8日にフランス・パリで開催された Euretina 2025 にinvited speakerとして参加・発表してきました。今年は25回記念大会ということで、参加者はなんと 11,000人超。名実ともに「世界最大の網膜学会」と言える盛り上がりでした。私は今回で4回目の参加でしたが、開催地が花の都パリということもあり、日本からも例年以上に多くの先生方が来られていた印象です。会場は地下鉄1号線沿いの巨大な会議場で、シャンゼリゼ通りや凱旋門といった観光名所からもほど近く、雰囲気抜群でした。

私は、坂本泰二先生(鹿児島大)、辻川明孝先生(京都大)がモデレーターを務められた “New Understanding of the Choroid” というシンポジウムに演者として参加し、 “Concept of Choroidal Congestion” をテーマに講演しました。他にも五味文先生(兵庫医大)、秋山雅人先生(九州大)、Dr. Amani Fawzi(米国)、Dr. Reiner Schlingemann(オランダ)、Dr. Enrico Borrelli(イタリア)が登壇されました。それぞれが人種差、ゲノム、動物モデル、動静脈吻合仮説、OCTA知見と多様な切り口でパキコロイドを議論し、大変内容の濃いセッションでした。広い会場にもかかわらず開始早々に立ち見が出るほどの満席で、世界的にこの分野への関心が高まっていること、また日本の研究がトップレベルにあることを改めて実感しました。自身の発表以外でも、萎縮型AMDの新規治療や、急速に進展する遺伝子治療のセッションで最新情報を得られたのは大きな成果でした。

Euretinaは開催地自体も大きな魅力で、昨年はバルセロナ、来年はウィーンです。発表があれば堂々と参加できますし、ぜひ日本の若手の先生方にも、Euretinaで「世界の眼科学」を体感していただきたいと願っています。(古泉英貴)

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【第41回日本眼循環学会参加報告】

2025年7月19日(金)・20日(土)の2日間、兵庫県神戸市の神戸ファッションマートにて開催された第41回日本眼循環学会に現地参加させていただきました。本学会は眼循環に関する基礎から臨床までの幅広い研究が発表され、活発な発表・質疑応答が行われた非常に有意義な学会でした。本学会において、琉球大学病院からは古泉英貴教授が「PULSAR延長試験:新生血管型加齢黄斑変性患者におけるアフリベルセプト8mgの156週成績」という演題を、今永直也先生が「偏光感受型光干渉断層計を用いた中心性漿液性脈絡網膜症における強膜複屈折の検討」という演題を、私宮良は「Type 3黄斑部新生血管に対するラニビズマブバイオシミラーへの切替効果」という演題を発表しました。最近は脈絡膜血管吻合についての発表を多くしていたのですが、今回は日々診療にあたっている加齢黄斑変性についてのデータをまとめ、学会という場で発信することができ、大変貴重な経験となりました。本学会では多数の先生方によるご講演があり、いずれも非常に興味深い内容でしたが、なかでも特に印象に残ったのが招待講演として行われたDr. Amani Fawzi(Northwestern University)による糖尿病網膜症に関するご講演です。ご自身がどのように研究テーマを構築し、成果を積み上げてこられたかという内容は非常に説得力があり、研究者としての姿勢に強く感銘を受けました。また、脈絡膜に関するセッションでは、「厚い脈絡膜」に加え、「薄い脈絡膜」に関する議論も活発に行われており、疾患理解の深化と今後の研究の方向性を考えるうえでも非常に示唆に富む内容でした。眼科の医師だけでなく、内科の医師も議論に参加されており、別の視点からの意見も聞くことができました。学会の懇親会では、他大学の先生方との交流を通じて、さまざまな視点や取り組みについて伺うことができ、大変刺激を受けました。

本学会の参加は、研究活動や臨床への意欲をより一層高める貴重な機会となりました。本学会を通して得られた知見や気づきは、日々の診療や研究活動に活かせるものであり、今後もこのような学会に積極的に参加していきたいと感じました。

最後になりますが、本学会を主催された五味文教授をはじめとした関係者の皆様、運営に携わったすべての方々に厚く御礼を申し上げます。(宮良安宣)

 

 

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【APRIS 2025 参加報告】

2025年7月4日~5日に韓国・ソウルで開催されたAsia Pacific Retinal Imaging Society (APRIS) 2025にてinvited lectureを行いました。APRISは私の以前からの友人でもあるKyung Hee UniversityのSeung Young Yu教授が中心となり運営されている会で、世界中から一流の網膜研究者を集めて毎年行われており、光栄にも昨年に引き続きご招待頂きました。非常にレベルの高い研究発表とディスカッションが行われ、現在私がorganizing commitee memberをさせて頂いている日本のFujiRETINAの運営においても参考になることが多くあり、今後に是非活かしていきたいと思います。(古泉英貴)

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【第40回 JSCRS 学術総会 参加報告】

2025年6月20日から22日にかけて、福岡国際会議場にて「第40回 JSCRS 学術総会」が開催されました。今回は会長企画シンポジウム「白内障手術教育〜南の国から〜」にて発表の機会を頂き、準備段階から緊張しながら臨みました。

発表は二日目に予定されていたため、初日はさまざまなセミナーを聴講いたしました。教育セミナー2では、逢着や強膜内固定についてのご講演がありました。現在は強膜内固定が主流となりつつありますが、それでも逢着が有用とされる場面について具体的にご教示いただき、非常に参考になりました。教育セミナー3では、フェイコマシンの設定値といった実践的な話題に加え、超音波発振による音響キャビテーションや、衝撃圧力に伴うフリーラジカルの発生など、基本原理についても改めて学び直すことができ、大変有意義でした。ランチョンセミナーでは、Heads-up Surgery のエルゴノミクスへの影響や、UNITY VCS の臨床使用経験など、興味深い発表が続きました。手術を始めた頃と比較しても、技術の進歩を肌で感じることができました。特別講演では、東京女子医科大学 足立医療センター 副院長 兼 眼科教授の須藤先生による「幸齢社会の実現に向けた白内障手術」と題したご講演を拝聴しました。嚢外固定のスライディングスケール、眼球プロポーションを踏まえた術後屈折の設計、糖尿病網膜症や黄斑浮腫を合併する症例における手術のタイミングなど、これまで先生が疑問を抱き、試行錯誤を重ねながら得られた知見をご紹介いただきました。教科書では触れられない現場での積み重ねを知り、改めて深く感銘を受けました。

二日目は、自身の発表がメインとなりました。手術教育という大きなテーマの中で、これまでの取り組みを客観的に振り返る貴重な機会となりました。教育を受ける立場から、教育する立場へと移った現在、白内障術者をいかに効率的に育てるかという課題に対し、これまでの経験と考察を率直にお伝えしました。明確な答えのないテーマではありますが、教育に携われることへの責任と使命感を改めて実感し、今後も指導医として研鑽を重ねていきたいと考えております。このような貴重な機会をくださった学会長の太田俊彦先生、座長を務めてくださった園田康平教授、吉富文昭先生、また活発な議論を交わしてくださった九州圏のシンポジストの先生方に、心より御礼申し上げます。

今回は最終日を待たずして帰路に着くこととなり、多くの魅力的なセッションに参加できなかったことは心残りでしたが、自身の発表を含め、非常に充実した時間を過ごすことができました。最後になりますが、学会長の太田俊彦先生をはじめ、本学会の運営にご尽力くださったすべての関係者の皆様に、改めて深く感謝申し上げます。(文責 澤口翔太)

 

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【11th Annual Pacific Retina Club & International Retinal Imaging Symposium 2025 参加報告】

2025年6月5日~7日に米国ロサンゼルス・UCLAで開催されたAnnual Pacific Retina Club (PRC)およびInternational Retinal Imaging Symposium (IntRIS)にて参加・発表してきました。この会は私自身最も好きな国際学会の1つで、コロナ禍を挟んでほぼ毎年参加しています。

今回は講演2つと座長1つ役割があり、非常に多忙でしたが、PRCでは最近の網膜領域の知識をまとめてアップデートでき、IntRISでは眼底イメージングの最新情報を多く得ることができました。

今年は東京科学大学の高橋洋如先生、高橋知成先生、杉澤啓吾先生、近畿大学の眞野福太郎先生、信州大学(現在シカゴ留学中)の柿原伸次先生も発表されましたが、講演内容も英語力も、皆お世辞抜きで素晴らしかったです。このようなほぼ一世代下の先生方の活躍を目の当たりにし、日本の未来はきっと明るいと感じました。これからも有望な日本の若手が国際舞台にどんどん出て行けるよう、私もできる限りの後押しをしていきたいと思います。(古泉英貴)

 

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【第95回九州眼科学会 参加報告】

2025年5月29日から6月1日にかけて、福岡県・アクロス福岡にて開催された第95回九州眼科学会に参加して参りました。

私は第41回緑内障カンファレンスで「水晶体嚢拡張リングにより悪性緑内障をきたした一例」という演題で初めての学会発表を行わせていただきました。初めての発表ということもあり大変緊張しましたが、多くの先生方にご助言やご質問をいただき、今後の診療・研究に生かすべき多くの学びを得ることができました。また、與那覇智基先生による「原発開放隅角緑内障に視神経周囲炎を合併したと考えられる一例」の発表は、稀な合併症例に対する診断・治療アプローチについて非常に示唆に富んでおり、深い学びがありました。

一般演題では、赤嶺もな先生の「琉球大学におけるHTLV-1関連ぶどう膜炎の臨床像」、真壁知花先生の「学童期に生じた中心性漿液性脈絡網膜症の一例」が発表されました。両先生とも、堂々とした姿勢で発表されており、質疑応答にも冷静に対応されている様子に深く感銘を受けました。

また、ランチョンセミナーでは、古泉英貴教授による「アイリーア8mgで変わるnAMD治療」、大城綾乃先生による「ぶどう膜炎診療に役立つ網膜・脈絡膜の画像評価」が開催されました。特に古泉教授のご講演では、8mgアイリーアによる治療効果について話されており、日々の診療に即した実践的な知見を得ることができました。疾患の管理に加え、患者の意欲を引き出すアプローチの重要性を再認識しました。

さらに、特別講演として行われた九州大学 総長 石橋達朗先生の「総合知で社会変革を牽引する大学へ」では、九州大学が医学部に限らず、人文社会科学、デザインなど多様な領域の知見を融合させて社会課題解決に取り組む姿勢が紹介され、非常に感銘を受けました。医療の枠にとどまらず、学問の連携による社会的意義のある活動の必要性について改めて考える機会となりました。

今回の学会参加を通じて、専門分野に関する知識の深化だけでなく、発表経験を通じた自身の成長、また他分野の知と交差することで得られる視野の拡がりを実感しました。この貴重な経験を今後の診療と研究活動に活かし、より質の高い医療の提供を目指して研鑽を重ねてまいります。

最後になりましたが、学会運営にご尽力いただいた関係者の皆様に心より感謝申し上げます。(與那覇茉祐子)